September 2024

どうする、どうする、となりのキンタ(農地)?

ウチに隣接して小川まで続いている急斜面の土地が手に入れば、当分の間は水不足を心配しなくてもよくなる、と何年も考えていた。下草ぼうぼうで放置されているその土地は、森林火災の時期には大きな脅威となる。自分たちの土地ならば、思うように手入れもできるのに、と毎年、森林火災の時期になると不安になったが、持ち主が特定できずにいつしか忘れていた。

持ち主が特定できなかったのには訳がある。言葉の壁もあるが、この辺りでは(あるいはポルトガルの地方では?)、いとこ同士の結婚が多い。集落や村では誰も彼もが「従兄弟もしくは従姉妹」。しかも日本と違って、同じ名前の人ばかり(注)なのだ。「私の従姉妹のマリアが...」と言われても、みんなマリアなので(ポルトガル人はわかるようだが)どのマリアだかわからない(ちなみに隣のアリスはマリア・アリス。8人の妹がいたがみんな、マリア・ローザ、マリア・マニュエラ、マリア・グロリア...だった)。たとえ持ち主がはっきりしても、売る気がないかもしれないし、ガイジン=金持ち(ATM)と思われて法外な値段をふっかけられて不快な思いをしたくもなかった。

スペインで車が故障! その後

故障した車が積載車に載せられてスペインからポルトガルに移動させられ、国境の修理工場に搬送されて二週間が経つ。その間、車は一時、行方不明になっていた。

経過を整理してみよう。

9月12日 車がスペインで動かなくなって、積載車でビラール・フォルモサの修理工場に移送される。私たちは保険会社が準備したレンタカーで帰宅。16日には最寄り町の指定修理工場に車が搬送されるという話だった。

9月16日 15日に発生した大規模森林火災で、あちこちの道路が通行禁止に。それが理由かどうかはわからないが、車はビラール・フォルモサの修理工場をまだ出発していない様子だった。こちらも森林火災で忙しくて、確認する暇はなかった。

9月20日 森林火災が落ち着いてから連れ合いが保険会社に連絡すると、20日中には到着するという返事だったが、どこに行ったのか不明。

9月23日 もしかすると保険会社がウチの車を紛失した? 私はどこかで盗まれて今頃モロッコあたりに密輸されているのではないかと心配になってきた。保険会社からは、修理は全て終わっているので、評価してもらいたいと言うメールが連れ合いのところに届いた。再度問い合わせると、確かに車は最寄り町まできてはいるようだが、どこに行ったかわからない。

六つ子のヘビ?

庭で時々、ヘビの抜け殻を見かける。大抵、長さは1メートルちょっと。薄くて軽くて、取扱注意。乱暴に扱ったらチリになってしまいそうである。

ある日、用事があって近くの村の廃校(とは言っても色々なイベントが行われる)を訪れた。入り口の石段に足をかけると細いヒモのようなものが目に入った。よくよく見てみるとヘビの抜け殻。手に取ってみると、1匹の細いヘビではなくて、6匹分の子ヘビ(?)の抜け殻だった。長さは40センチから50センチで、直径は1センチくらい。六つ子のヘビ?!

ヘビは石に体を擦り付けて脱皮する。この子たちはここでみんな一緒に脱皮したのだろうか。ヘビって集団生活をするものだったかしら?

多くのポルトガル人はヘビ恐怖症だ。ヘビは恐ろしいものと思い込んでいるのか、見たら直ちにシャベルやクワで叩いて殺してしまうのだ。毒ヘビか、敵(例えば人間)を攻撃する体制になっているかどうかは関係ない。隣人のローザが狂ったようにヘビの頭にシャベルを叩きつける場面を、何度見たことだろうか。そしてそのうちの1匹も助けることができなかった。

皮だけ残していったこの六つ子。人目につかない場所で無事に育ってくもらいたい。

 

写真は上から

六つ子のヘビの抜け殻

顔まで綺麗に見える

ファドの路上公演

ポルトガルの村には、楽隊が演奏する円形の屋外スタンドがある。子供達の遊び場になっていることが多い。実際に、楽隊が演奏をしているのは一度しか見たことがない。

8月末のある夜。近くの村でコインブラのファドが演奏されるというので聴きに行った。この日は夜になっても寒くならず、屋外コンサートには打って付けだった。屋外スタンドが舞台になるはずだったが、高すぎて歌い手もギタリストも椅子に座った聴衆には見えないだろうと、急遽、その隣にある水くみ場が舞台になった。聴衆は路上に並べられた椅子に座る。この道路の先は行き止まりだから、車はあまり通らない。半円形に石壁でかこまれた水くみ場は音響も良い。聴衆の半分はポルトガルに移住してきた外国人だったようにみえたが、身なりの良い地元ポルトガル人もちらほら。

コインブラ・ファドはリスボンのファドとは異なり、歌い手は男性。通常のギターとポルトガル・ギターの演奏で歌う。ギタリストも当然のように男性である。この日は珍しく女性がポルトガル・ギターを演奏した。
 

写真は上から

水くみ場の前でファドを歌うファディスト。向かって右側が女性のギタリスト

同上

ファドに聴き入る聴衆

 

初めて豚の世話をする

近くに住むフランス人一家が、数週間、モロッコに出かけるという。彼らはポルトガルに来る前にはカサブランカ近郊に住んでいた。私たちが長期留守した時には、イヤン(夫)がウチの庭の世話をしてくれた。

留守番を頼んでいたのだが、直前になって留守番を引き受けた人が倒れた。急遽、他の友人に留守番を頼んだが、最初の3日間、誰も引き受け手が現れず、近くに住む私たちが動物の世話をすることになった。

鶏とアヒル、豚とネコである。犬はウチの集落に住んでいるヴァレリーが預かることになった。1日に2度行って、水と餌をやる。アヒルと鶏は朝には小屋から出して夕方にはまた小屋に戻す。

ネコと鶏の世話は何度もやったことがある。でも、豚は初めてだ。一頭はイノシシとブタのあいの子。牙はないが、大きい。残りの4頭は成獣になっても小さいままの「小」ブタちゃん。囲いの近くまで行くと、喜んでどこからともなく走ってやってくる。大きな一頭は、嬉しいからなのだろうか、鼻を押し付けてくるのだが、ついでに私の足も踏む。餌を餌箱に撒くとものすごい勢いで食べ始める。ブタってこういうものだったの? 毎日顔を合わせていると愛着が湧いてくる。

竹の開き戸を作る

道路に面した庭の一角に毎年一度だけ、冬に薪ストーブで使う薪を搬入する時に、開閉する開き戸がある。元々はブドウのつるが絡んだただの垣根だった。何年も前に、連れ合いがつると支柱やワイヤーを1.4メートルほど押し除けて、友人からもらってきた直径10センチほどの竹で作ったものだ。

時が経って、麻ヒモが劣化してボロボロになり、重さで蝶番が歪んで、だんだんと形が崩れ、ちょっとかわいそうな状態になっていた。その状態で数年経ってしまったのだが、やっと一念発起、開き戸兼垣根を作ることにした。

とは言っても、そんなものを作ったことは一度もない。まだ幼稚園の頃だろうか、父が作った開き戸に上って遊んだことがある。インターネットで調べると、色々と出てくるが、私のイメージに一番近かったのは枝折り戸。でも、サイトを見てみると「表皮はぎ」とか難しそう。父が作った開き戸は、もっと簡単に細めの竹を丸ごと使っていたような気がする。

庭には小さな竹林がある。生えているのは太くても直径が6センチほど。収穫した竹を前に、どこから手をつけたらいいのだろうかとちょっと呆然としたが、竹をそのまま使うのは無理な気がしてきた。

大規模森林火災 2024年 雨だ!

19日の夜、雨が降り始めた。だいたい天気予報の雨は、その年の降り初めだと、パラパラか霧雨程度。一週間ほど先に雨の予報が出ていても、その時になってみれば蒸発していることも多い。19日に雨が降る予報は数日前から出ていたが、本当に降るとは信じていなかった。
 

翌20日。夜の間に結構な量の雨が降ったようだ。一晩の雨で庭全体、周りの森林全体が生き返った。煙が全て洗い流されて空気が澄んでいるし、久しぶりに煙の漂っていない空が広がっている。湿った庭に出ると水が撒かれた土の匂いがした。昨日までとは何という違い。これで森林火災の季節が終わる(と思いたい)。
 

だが実際のところ、今回の森林火災の規模はどれほどだったのだろうか。RTP(ポルトガル国営放送)によると、9月14日から18日までにポルトガル本土で94,146ヘクタールが焼失。これは東京区部の2倍の面積である。出火件数は1,044件、大多数が夜間の出火だった。原因は放火または過失と考えられる。ちなみにコペルニクス*によると焼失面積は121,000ヘクタール以上(62,000ヘクタールという情報もある**)。ポルトガル本土で500,000ヘクタールが焼失***(540,000ヘクタールという情報もある****)した2017年の大火に次ぐ規模である。
 

スペインで車が故障!

カステロ・ロドリゴからの帰路。特に急いでいるわけでもないので、まあゆっくりと国境を超えてスペインに入って、国境沿いに南下しようかということになった。

車のラジエーターの調子が悪くて、少し前に修理に出した。水が漏れてしまうのだ。一応修理は終わって帰ってきたが、ある程度の長距離を運転してみないと、本当に大丈夫かどうかがわからない。日常的には半径10キロ以内の移動しかしていない。ということで、長距離ドライブを兼ねて、今回の小旅行は修理後のエンジンやラジエーターの調子を見るという目的もあった。

前日、「川魚しかないけれど」レストランに到着して駐車した時には水漏れもなく、エンジンの温度も普通で問題なかった。食事が終わって、出発直前にチェックすると、ラジエーターのチューブが外れて、水が全て流れ出てしまっていた。エンジンの下の方にあるチューブなので、接続はなかなか難しかったが、連れ合いが何とか接続して、水を入れ直して出発。5分も進むとエンジンの温度が上昇。水温計の温度が上がって、「チン、チン、チン」と警報が鳴った。すぐに停めてまたチェック。今度は水漏れではなくて、どうやらチューブ内の空気が抜けていなかったらしい。空気を抜いて恐る恐る、また出発。今度はどうやら大丈夫。

レストラン・川魚しかないけれど

「Só Peixe do Rio!ー川魚しかないよ!」
12年前の7月の昼下がり、そのレストランに足を踏み入れると店主と思われる男性が声を張り上げた。ジリジリと肌を焼く暑い太陽の下、その村に一軒しかないカフェバー兼レストランには足元にはおこぼれの魚を狙ったネコたちがうろつき、店は満員で熱気に満ち溢れ、混沌としていた。

お客さんは地元(観光客もいたかも)ポルトガル人だけで、外国人は誰もいない。その言い方からして、「ガイジンのお客さんだ。川魚なんて食べたくないだろうに決まっている」と思っていたような口ぶりだった。もしかすると、ガイジンはポルトガルのレストランでは肉を注文するものだと思い込んでいたのだろうか。私たちにしてみれば「川魚! おいしそう!」である。「それ、いいですねえ」というと道路側の席に案内してくれた。相席である。

大規模森林火災 2024年 その後

9月19日。起きると家の周辺には煙が漂っている。ただ、気温は低く、秋の気配というか雨が近づいている匂いがしている。今日の夕方には雨が降る予報も出ているので森林火災が終わったような感じもするが、実はまだ80カ所の森林火災が進行中(今回のピーク時は130カ所に及んだ)。

ウチの集落で山火事騒ぎがあった翌日17日にはタブアの反対側の地域まで山火事が移動していた。風下に住んでいる友人たちは夜中の2時頃に消防団員に起こされて、危険が迫っていると告げられ、高齢者や足が不自由な人たちは村のデイケアセンターに避難。友人デイブは火災から家を守るために居残って消火作業と監視を始めた。夜が明けてから、連れ合いが消火の手伝いに行った。

私は体調不良。何でこんな時に! と思ったが夜中からお腹の調子が滅法悪くてトイレから離れられない状態に。どちらにしろ、二人とも出払って、ウチの周りで火災が起きたらお手上げである。キッチンのソファにねころがりながら、万が一に備える。ウチのおネコ様は昨日から外出禁止である。

連れ合いは昼前には帰宅。山火事はデイブの家のかなり近くを掠ったものの、彼の敷地内には入ってこなかったということである。消火作業はあまりせずに、主に監視をしていたという。とりあえずはよかった。

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