オリーブの収穫 2019年 第一弾
オリーブの収穫は2年ぶりだ。昨年はオリーブの花が満開の頃、強風と豪雨に見舞われて花がほぼ全滅。実がつかなかった。 例年、オリーブの収穫は10月末から11月初旬に始めて2、3週間作業を続け、製油所で油を絞り、11月半ばを過ぎる頃にはしぼりたてのオリーブオイルにパンを浸して幸福を味わう。
今年は天候不順もあって、例年よりも2週間早く、10月なかばから収穫を始めた。長期天気予報を見ると、11月に入ってすぐに雨が降り始め、当分の間は晴れそうになかった。
製油所は今年は11月4日の月曜日にオープンすると聞いた。スティーブが確認に行くとその一週間前から機械の点検を始め、問題なく動くようであれば月曜日に、問題なく動くことが確認できてオリーブの持ち込みが始まればもしかすると週末にも営業を始めるかもしれない、となんともポルトガルらしい答えが返ってきた。
オリーブの木を見上げると、すでに収穫時期に入っている。早めに収穫するとオリーブ色、つまり緑色のオリーブが多くなる。若いオリーブが多く含まれるオリーブオイルは胡椒のような、ピリッとする味がする。遅めに収穫をすると黒く熟した実が多くなり、マイルドだ。油の含有量が多い、熟した実が多ければ多いほど、戻ってくるオリーブオイルの量も増える。
好みではあるが、私たちはピリッと辛いオイルが好きなので、できれば40から50パーセントはまだオリーブ色をした実があるうちに搾油をしたい。
私たちが収穫を始めた頃、まだ誰も収穫を始めてはいなかった。晴れて暖かく、最高の収穫日和が続いた。
その間、何度も製油所に通って搾油機の整備状況を確認。10月31日の木曜日に営業を開始するという噂が流れてきた。実際に31日には稼働しているようだった。その頃にはすでに600キロは収穫していたので、製油所が混み合う前に搾油して、その後、天候が回復すれば収穫を継続、もう一度搾油をしようという話になった。
11月1日。収穫したオリーブの実を水につけて保存していたデイヴの家に朝早く集合。彼の家から製油所まではほんの5分くらいなので、家で収穫した実も、すべて彼のところで保存している。
水を流して、実だけを大型のバケツに入れて借りてきた友人のバンに積み込む。一つのバケツはだいたい25キロ。バケツの上にもう一つバケツを重ねて、やっとすべて積み込みが終了。早速、製油所へ向かった。
朝9時半。なんだかひっそりしている。従業員も、オーナーもいるのだが客がいないのだ。私たち以外に男性が一人、機械の稼働を待っている。朝の6時ごろから待っているが、機械が動く気配がないと怒っている。従業員に聞くと、今日は稼働しないと言う。はっきりしないのだが、客が二人だけだと機械がフル稼働できないから動かさない、ということらしい。昨日はそれでも、一度稼働させているという。
朝早くから、オリーブを水から上げてバケツに移し替えるのは重労働だ。これで搾油ができなければすべて持って帰ってまた水につけなくてはならない。それでも、オーナーも従業員も落ち着き払っている。側のカフェに行ってコーヒーでも飲んできたら、帰ってくる頃には状況も変わっているかもしれないし、と呑気なことを言っている。他にどうしようもないので、私たち5人(デイヴと私たち、友人のアンディと手伝いのドン)はカフェに。忙しい時期だと、番号札を持って自分たちのオリーブが計量されるまで製油所に張り付いているのに、なんという違い!
一時間ほどして製油所に戻ると、オリーブを積んだトラックが何台か停まっている。早朝から待っていた男性は帰ってしまったようで、見当たらない。搾油機を稼働させることになったと、従業員がなんだか嬉しそうに宣言する。フル稼働には4バッチが必要だ。1バッチの最低重量は年によって違うが、今年は250キロ。私たちのオリーブは無事に計量機の中に吸い込まれていった。アンディの分も含めて、760キロ。豊作である。
忙しくない製油所で従業員やオーナーは時折笑顔すら見せる。繁盛期はすごい活気だと思っていたが、それは活気ではなく、殺気立っているのだと気がついた。
「通常通りの搾油でいい? それともコールドにする?」 こんなこと、今まで聞かれたことがない。これまで確認したことはなかったが、私たちのオリーブオイルはコールドプレスのエキストラバージンだと思ってはいた。詳しく聞くと、搾油過程の最後で機械内部に残ったオイルを洗い流すために入れる水の温度のことだという。通常だと35度から40度の湯を入れて流すが、コールドの場合は温めない水を使うという。
製油所の内部は暖かい。機械に触っても(触らせてくれるのだ)、搾油過程のオリーブが暖かいのがわかる。それは、熱を加えるからではなくて、オリーブの実を砕き、すり潰す時に発生する熱なのだ。家のオリーブオイルは、正真正銘、コールドプレスのエキストラバージンなのだ!
この日は、せっかくだからコールドでとお願いした。水の温度が低ければ、出てくる油の量も異なる。最終的に入手するオイルは1〜2パーセント減るということだった。
製油所にオリーブを持ち込んでから7時間。きれいな緑色のオリーブオイルが出てきた。その場で、まだ暖かいオリーブオイルにパンを浸して味わった。ピリッとするオリーブオイル、しぼりたての鮮度。一年に一度しかこんなオリーブオイルを味わうことはできない。
70リットルほどの新鮮なオリーブオイルを手に、私たちは家路についた。
写真は上から
製油所に運び込んだオリーブの実
搾油過程の最初、計量機にオリーブを入れる
絞り出てきたオリーブオイル
タンクに入ったオリーブオイルを持参した容器に入れ替える




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