ポルトガルのボージョレ・ヌーボー?
11月11日は聖マーティンの日。今年のワインを試飲する日である。数日前から大工職人の3人がこの日にはバーベキューをやってワインを飲むのが伝統だから、そうしようと言っていた。ワインはもちろん、家のワインである。
昼前に家に行くと職人達は既に焚き火を焚いていた。買い物も既に済ませたという。見てみるとポークとパンの山。スティーブは風邪で、遊びに来ている(或いは労働しに来ている)友人のアランは連日の石壁作りで疲れて、二人とも家で休んでいる。だがこの様子では延期というわけには行かない。電話すると顔だけでも出すという。
10センチ四方もありそうな豚肉を次々と網(サンマを焼く網を10倍くらい強くしたようなもの)に乗せる。60センチ四方ほどあるその柵が豚肉で埋まった。ドアを使ったテーブルの上にパンを切って乗せる。アリスのアデガからワインを5リットル入りの瓶に入れて持ってくる。スティーブとアランも来て、8人でバーベキューパーティとなった。何の野菜もないのがいかにもポルトガル。パンに焼けた豚肉を乗せてワインで流し込むのである。もっと食べろと進められてもそんなに食べられるものではない。食事の後、職人はそれでもちゃんと仕事に戻った。
仕事の合間に職人は何度も私達に、ポルトガルでは聖マーティンの日には焼き栗を食べてとワインを飲むのが伝統なんだよと言いに来た。最初は「へえ、そうなんだ」と言っていたが、結局スティーブがスーパーまで、栗を買い出しに行った。
職人の一人が松葉の山に栗を入れて、火をつける。それだけである。下火になるとまた、松葉を乗せる。皮が真っ黒に焦げた栗を彼らは手で拾い上げるとテーブルに乗せた。アリスがジュルピガを持ってきた。白ワインとアグアルデンテを混ぜた飲み物である。砂糖も入っているのだろう、甘い。これがまた栗とよく合う。夕方になってやってきた電気工も一緒に栗を食べた。
職人達は栗まで食べてやっと、伝統行事が終わったと安心した様子だった。