September 2021

グリを忘れないために

8月の末頃だったか、2匹の病気の猫が集落にあらわれた。一匹は黒猫で、2回、庭の陽だまりで横になっているところを見かけた。骨と皮ばかりのその黒猫は、そっと餌を差し出しても近づいてこない。よろよろと後ずさりしながら塀から飛び降りて逃げてしまう。そんなことが二度ほどあってから2週間後、隣家の排水溝で死んでいるのがみつかった。死骸を取り出すのに町役場の職員を頼み、一騒動。臭くて大変だったという。

もう一匹は同じ時期に現れた灰色の猫。集落の中心にあるチャペルの前に駐車した車の下で暮らし始めた。痩せこけてはいるものの、人間には懐いている。少し世話をすれば元気になりそうに見えた。少なくとも死んでしまった黒猫よりは希望が持てた。